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きっかけは七五三でした

 うちの娘が6歳になったとき、そういえば、 姉が幼いころに着ていた可愛い子供の着物が あったのを思い出し、実家のタンスから引っ 張り出してきました。
 所々やはり年代物ですから、シミや茶色の 斑点が見受けられます。柄がほんとに子供ら しくて可愛かったので、着せることができた らなと、試しに着せてみました。
 羽織ってもらって腕の長さや身長、重ね具 合などを見ます。ところが、脇の部分や袖の 継ぎ目などがほつれています。まあ古いから 仕方ないなと思っていたら、縫い糸が年数に よって朽ちているのでした。よくみると、着 物の生地も弱くなっていて、シャリッと裂け そうなくらい弱くなっています。これではや っぱり着せることができないなと、諦めました。

 それと時を同じくして、あるお客様がお嬢 様にどうだろうかと、振袖の反物を持ってこ られました。お話を聞くところによると、前 述の私の姉が着ていた子供の頃の着物と同じ くらい年数が経っているお着物です。結婚し た時に振袖はもう着ないからと、洗い張りを して大事に保管されていたそうです。柄もと ても良く、状態もとても良好なものでした。

【洗い張り】の図

 

 お客様の振袖はお仕立てをさせて頂いたので すが、ここで疑問に思いました。私の姉が子供 の頃に着ていた着物は、随分とくたびれていた のに、お客様の振袖はどうして新品のようだっ たのかと。

お客様の振袖も同じような年数が経っていま す。もしかしたら、お客様のお着物の方がも っと時間が経っているかもしれません。それ でも、この違いは何なんだろうと。
 一番の違いは何なのかというと、仕立上っ たまま保管しておいたか、反物の状態で保管 しておいたかの違いです。  そしてまた別の日、違うお客様がご来店に なりました。そのお客様も反物のお仕立ての ご依頼でした。そこでお持ちなった着物は、 なんと大正から昭和初期にかけて作ったと いう振袖で、別の袖分が余分についていて、 留袖にもなるものでした。
 広げてみると、その当時の手描きのとても 良いお着物です。ただ、なにぶん年数が経っ ていること、少しヤケがあることなどから、 もう一度洗い張りをして、ヤケのある部分は 色を挿してなどのお直しがあるので生地が耐 えれるかなと心配でした。
 生地が弱っているかどうかの判断は、端の 縫い代にはいる部分の差し支えのないところ

で検品します。生地が弱っていると、少しの 摘まむ力でシャリッと裂けてしまいます。 そうなると、洗い張りをすると生地が全体に 裂けてしまうので、お仕立てをしても、歩い たり、横を向いたり、しゃがんだりすると お着物が破れてしまいます。
 でも、お客様のお持ちになった大切な着物 は大丈夫でした。洗い張りをして部分直しを し、振袖にしてお仕立てをさせて頂きました。 実に歴史のあるお着物です。今でもその感動を 覚えています。お祖母さんが晴れ着として着た 着物を娘が二十歳で受け継ぎ、そして孫の代の 成人式へと、本当に母娘三代着ることができた 着物でした。
 この時も不思議でした。なんで、こんなに いい状態で保管できるのだろうと。特別な桐 をつかった箪笥なのだろうか、着物に秘密が

あるのだろうかと。  そこでお客様に聞いてみました。「どうやって 保管しておいたんですか?」と。そうするとお 客様の答えはこうでした。「保管もなにも、実家 の家を整理するのに箪笥をあけたら古い写真に あった着物の反物が出てきたんです。私もこの 振袖を着たんですよ。それが知らないうちに反物 になってて」と。どうも、この振袖は長い時間箪 笥に入ったままのようです。特別何かをされた様 子もありません。
 こんなに状態のよいお着物で問題がないのは、 どうも洗い張りに秘密があるようです。
 私の姉の着物は仕立上ったまま保管。お客様の お着物は反物の状態で保管。姉の着物は生地が弱 っている上、シミや茶色の斑点がある場所は所々 穴が空きそうに薄くなっています。恐らく食べこ ぼしや飲み物をこぼしたところが、その都度綺麗に

していた筈ですが、表ではない、内部に染み込 んだシミや汚れが長い間置いておいたことによ って劣化し表にて出てきてしまったようです。 お客様の着物は洗い張りをしているので、一枚 の布の状態で、汚れはもちろんのこと、シミな どは綺麗にして反物になっています。それによ って、着物全体が空気に触れる面がとても少な いこと、シミや汚れを落としているので、年数 が経ったとしても、影響がすくないのだと思い ます。
 これまでの出来事を踏まえると、洗い張りを したお着物は長持ちをするということです。 そして着物はとてもエコなものです。体型が 変わっても寸法を変えて仕立直すことができ ます。前述のお客様のように、受け継いだ思い 出の着物を着ることもできます。派手になった 地色を違う色に染めかえたり、着物をコートに したり、羽織を帯に仕立てかえたりすることが できます。
 これを読んで頂いたお客様も、思い出の着物 があると思います。もしかしたら、もう派手に

なってしまって着れない着物や、振袖、留袖な どかもしれません。処分するには惜しいお着物、 もしかしたらお嬢さんやお孫さんが着るかもし れないお着物を洗い張りをして保管しませんか。 お仕立てはいつでもお時間さえあればすること ができます。大切なお着物を長持ちさせるため に洗い張りはとっても良い方法のひとつです。

お着物のお手入れはお気軽にご相談ください

   

お手入れメニューは他もいろいろ お着物を一枚の布状にもどして洗う「洗い張り」 をはじめ、着物のお洗濯、シミ落とし、カビ落と し、寸法の変更と仕立替え、地色の変更や柄の ポイント直しなど、着物で出来ることは色々あ ります。お手元の「気になるお着物」や「思い 出の着物」など、これをよい機会に点検してみて 下さい。土の飛び跳ねやファンデーションの汚れ など、気になるところ、ご相談ください。

 

ちょっと余談:洗い張りをするとこんなことが

 新しいものが欲しくても、保管する場所が ないなどのご相談があるのも事実です。 そこで、「もう、しばらく着る予定がないお着物」 を洗い張りして反物で保管すると、箪笥に空き スペースが増えますよ。その時のポイントは、 「大切にしまっていたい」「家族や親族で譲れる 人がいる」「思い入れがある」「とても気に入っ ている」...etcです。
 毎年一枚から五枚出されるお客様もいらっし ゃいます。お着物の状態によってはお受けできな い場合もありますので、気になっているお着物を みせて頂けると、より具体的な方法やお見積りが できると思います。お気軽にご相談ください。 また、シミ落としや汚れ落としなどの部分直し、 寸法直し等、お着物のお手入れや仕立直しなど 随時受け付ていますので、ぜひお問合わせ下さい。

 
地図

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ケンタッキーから細い一方通行を 進んで突き当たりの右側が店舗に なります。少し手前に店舗駐車場 もあります。分からない場合は お電話にてご連絡ください。

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